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魔人ドラキュラ

吸血鬼ドラキュラ

映画「ヴァン・ヘルシング」の話題が出たので、ブラム・ストーカーの本家小説への思い出も書いておこうと思います。

子どもの頃、家の本棚で見つけた1冊の本。それがドラキュラとの出会いでした。私が読んだ本のタイトルは「魔人ドラキュラ」。手元に原本がないので断定は出来ないんですが、おそらく東京創元社から出された日本で初めての翻訳本だったのではないかと思います。タイトルが「吸血鬼」になっていないのも、吸血ものとしてはこれが初めての登場だったからではないかと思ってます。

内容は一言で言ってしまえば、これも吸血鬼ドラキュラvsヴァン・ヘルシング教授に違いはないのですが、映画「ヴァン・ヘルシング」とは全く別物ですので、お間違えなきように。

この小説の面白いところは、全編が登場人物によって書かれた日記・手記で構成されていることです。登場人物の1人が、土地の事務手続きのためドラキュラ伯爵によばれてトランシルバニアに到着するところから話が始まるんですが、それが彼の日記(速記で書かれたという設定)になっていて、○月○日、何々…って感じで進んでいくんですね。伯爵との出会い、自分が体験した不思議なこと、それらが全部彼の視点から語られる。そしてうわー、どーなるんだーッというところでその日記は途切れ、その後は彼の婚約者が友人に出した「帰国予定日を大分過ぎるのに帰って来ないのよ…何かあったのかしら」みたいな手紙に変わり、返事の手紙や新聞の事件の記事、別の人間の手記…みたいな感じで続くのです。

それらは時系列に並べてあるんですが、手記という性質上、シーンがダブることもあり、また同じシーンでも人によって感じ方、表現のしかた、解釈のしかたが違っていて、それらの読み比べも面白く、味わい深くて読み応えがあります。似たような形式の小説としては、手紙でつづる「あしながおじさん」も有名ですが、多人数による手記での構成もまた変わっていて楽しめます。

本家(原作とは書けない)小説のテーマは「恐怖に打ち勝ち、それを乗り越えていく人間の勇気」なのではないかと思います。とてもお気に入りで、何回も何回も繰り返し読み返していたことを思い出します。

余談。
これを読むといつも「よーし、私も日記つけるぞー」という気分になるのです(笑)。すっかりその気になって張り切って書き出すものの、ドラキュラ並のペースを保つのは難しい…(^^;。日記やブログが続かない人は一度読んでみて下さい。触発されるかもしれません(私だけか…?)