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ゲド戦記[アニメ]

昨日、子どもたちと「ゲド戦記」見てきました。
けっこうあちこちで評価厳しいようなので、どうなんだろ・・・と思っていたんですが。
意外にも。良かったですよ。

で、感想に行く前にちょっと前置きを。
原作は読んだことがないので内容は全然知らないんですが、「ゲド戦記」は「指輪物語」や「ナルニア国物語」と並ぶ有名なファンタジーなんだそうです。それが映画になると知った時はてっきり「指輪…」みたいに実写SFX~な感じになるのかと思っていました。それがアニメ!? しかもジブリ!?と聞いて、いや、ちょっと待て、それはどうなんだろうかとすごく不安になったものです。

ジブリ、宮崎駿、と聞くと、もう既にブランドイメージが出来てしまっている感じで、それなら絵もやっぱり、あのジブリふうでいくんだろうなあと。でもジブリの絵ってゲド戦記に合うのかな、と。読んでないのに言うのもなんですが、何か…ちょっと、こう違うんじゃ…ないかな、みたいな気が。「指輪」「ナルニア」クラスのファンタジーを映画化するんなら、作り手の個性は押えてほしいというか、宮崎もジブリも感じさせないようなものにしてほしい、みたいな。

ところがですよ。監督は宮崎は宮崎でも駿じゃなくて息子の吾郎だそうじゃないですか。お、これならいけるかも!?とそこに少し期待をかけて行ってみたわけですよ。


大正解だったと思います。
一見宮崎絵に見えるけど、引きつった時のアレンの表情が…!

おおっ!いい顔してるじゃないですか~! これは宮崎絵じゃない! やったじゃないですか、みごとに宮崎駿を壊してくれたな!と(褒めてるんですよ^^;)。コレです、コレが見たかったんです。今までの宮崎ブランドになかったもの。「もののけ姫」で宮崎駿が崩そうとして結局崩せなかったもの。それだけじゃない。演出も芝居も人の描き方も全然違う。そうだ、そうでなきゃいけない。少なくとも宮崎駿には決して作れないだろうものを作ってくれた。新鮮でした。楽しめました。おかげで「宮崎ブランド」に邪魔されることなく「ゲド戦記」という世界を楽しむことができたと思います。

アレンにも共感できました。若者の抱える自分でもわけの分からない不安や恐れをしっかり描いてくれたと思います。息子(兄)などはアレンが自分と同い年ということもあって、共感も深かったようです。息子に言わせれば「ラピュタ以来の良作、少なくともハウルよりは数倍いい」だそうです。物語りも分かりやすかったし、どうしてあんなに評価が厳しいのかそこが逆に不思議に感じられるほど。
アレン、最後は自分を取り戻すことが出来てよかったね。自分の罪と正面から向き合い、現実を直視できるようになれてよかったね。ラストではちょっと涙ぐんでしまいました。

これは動きでもアニメでも映像でもなくて、「人」を描いた作品だと思います。

思い返せば…。
宮崎駿はアニメーターなので、アニメ、すなわち「動き」を描くことには並々ならぬこだわりを持っていたように思います。アニメ界で常に「動きで新鮮なショック」を与えてきた宮崎駿。「未来少年コナン」のギガント始動シーンも「ナウシカ」の王蟲の動きも当時のアニメ界に衝撃をもたらしたものです。だからジブリの作品は動きと映像なら常に高レベル。しかし、「人」を描くことにかけてはどうだったか…。動きを見るのが大好きなので、宮崎作品はどれも好きなんですけど、正直これまでの宮崎作品に「共感できるところまでいけるキャラクター」はいなかったんです・・・。

吾郎氏はアニメーター出身じゃない。だけどそのことが幸いして、動きに気を取られることなく「人」を描くことに集中できたのではという気がしました。従来のジブリ節を期待していた人には確かに違ったかもしれない。子どもには怖いかもしれない。でも若者と、若者を子に持つ親には逃げずにしっかり見てほしい作品だなと思いました。