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ロボット市民/アイの物語/タクラマカン

SFものを続けて読んだので・・・

「ロボット市民」
イアンド・バインダー著 創元推理文庫

実家から発掘した古典SFです。後書きによると最初の話が書かれたのは1939年…70年前の作品ですか!? 手元にある文庫本の発行年は1970年。それでも40年前!!

心を持つロボットの話なのですが、さすがに今読むと隔世の感があります…。SFなのに昔話を読んでるような懐かしさ。でも物語としては面白い。ベタだけどワクワクさせる展開はエンターテイメントの基本をしっかり押さえてくれていると思います。
人間よりも人間らしい心を持つアダム・リンク。突っ込みたいところがあっても、そこは気にせず彼の活躍を素直に楽しむが吉。

「アイの物語」

アイの物語

山本弘著。子どもが買ってきた本。勧められたので読んでみました。

ロボットが人間に物語を聞かせる、という千夜一夜みたいな構成で7つの作品が入ってます。それぞれは単発で書かれた別々の物語なのですが、並べてみると意味を持ってくる構成が面白い。

【宇宙をぼくの手の上に】
作品世界への導入部分ですね。まずは現実からスタートして、仮想空間(インターネット)で遊ぶという概念を理解してもらう、みたいな。個人的には好きな話です。
【ときめきの仮想空間】
ここからSFらしくなってきます。マトリックスみたいに意識も仮想空間に飛ばしてそこで遊べるという。
【ミラーガール】
AI育成の物語。ここでAIが自意識を持つ過程をやってるので、以降の作品を理解する助けになります。
【ブラックホール・ダイバー】
自意識を持ったAIが宇宙船の頭脳として働いている話。完成されたAIと人間の交流。
【正義が正義である世界】
仮想空間もここで完全形に。もはや仮想ではなく、そこに住む人にとってはそこが現実。
【詩音が来た日】
介護アンドロイドの話を通じて描かれる作者のAIに対する考え方。でもそういうことは置いといて純粋に話を楽しむも吉。理想だなあ…。
【アイの物語】
バーチャル世界とAIを組み合わせたロボットの概念が新鮮でした。なるほど、仮想世界でキャラ育成ゲームみたいにAIを育ててから現実世界で体を与える。それで心を持ったアンドロイドが誕生するということですね。ただAIが心(自意識)を持っても、それは人間のとは異なる、という考え方は共感できます。そこが「ロボット市民」とは違いますね。この辺は自分でも掘り下げてみたい興味深いテーマです。

「タクラマカン」

タクラマカン (ハヤカワ文庫SF)

ブルース・スターリング著。これも実家で見つけた本。
書かれた年代は主に1993~1998年。発行は2001年。「アイの物語」と重なる年代もある近代の作品。これも短編集です。ヒューゴー賞受賞とあったので期待して読んだのですが…。

す、すみません、私にはよく分かりませんでした…(汗。近代なのでネットなども取り入れているんだけど、どうも世界がよく理解できないし、登場人物が何をやってるのかも分かりにくい…。作者が日本好きで日本や日本人もよく登場してくれるのは嬉しいのですが。発想は面白いのもあるんですけどね。

【招き猫】
このネット社会がどういうものなのかよく分からない…。
【クラゲが飛んだ日】
発想は面白い。が、これからというところで突然話が終わる…。
【小さな、小さなジャッカル】
テロリストの話? 彼らが何をしていたのかよく分からないまま突然終わる…。
【聖なる牛】
話が始まらないうちに突然終わる。

【ディープ・エディ】
ここからが同じ近未来を舞台にした3連作なのだそうです…。でもどういう世界なんだろ?? 主人公は3作とも違いますが、友人関係にあります。
【自転車修理人】
相変わらず世界観がよく分からないが、こちらは主人公の仕事が自転車修理と分かりやすく、話も具体的に進んでくれたので大分読みやすくなりました。主人公にも親しみが持てたし、この本の中では好きな話になりました。しかし1993年にニコニコ動画を連想させるネットシーン(ニュース画面に文字コメントが流れていく)を書けたのってもしかしてすごい未来想像力かも(^^;。いや、むしろ逆にこちらが参考にされたとかっ??
【タクラマカン】
本の表題にもなってる作品。主人公に「タクラマカン砂漠に隠された巨大宇宙船基地を探す」という分かりやすい目標があったので、この中では一番読みやすかったです。巨大基地内の自己増殖ロボット群がすごかった…。?な部分もあったけど謎は明かしてくれたし、冒険ものとしては楽しめたのでまあ良しとします。


まとめとか
私にはスターリングは難しかったみたいです…。
70年近い歳月を経て新旧2つのロボットものを読み比べるのは面白かったです。昔のSF作家が想像し得なかった今日を思うと、つくづく事実は小説より奇なりだなあ…と思いました。